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Tree of Thoughtとは|1本道は行き止まりへ、枝を2本残したら1.6倍見て解に届いた

Tree of Thoughtとはどういう進め方なのか1本道で進むのと何が違うのか枝は何本残せばよいのか

AIに考えさせるとき、いちばん良さそうな道を1本たどるか、いくつか残しながら進めるかで結果が変わります。後者がTree of Thoughtです。

探索木を実際に走らせたところ、1本道の手順は行き止まりに着いて解に届きませんでした。枝を2本残すと届きますが、見る枝の数は1.6倍になります。

この記事の要点

  • Tree of Thoughtは考えを枝分かれさせて探す進め方
  • 1本道の手順は7本見て行き止まりに着いた
  • 上位2本を残すと11本見て解に到達した
  • 3本に増やしても到達は同じで、見る枝が14本に増えるだけ

1本道は行き止まりへ、枝を2本残したら1.6倍見て解に届いた

探索木を実際に走らせました。1本道は7本見て行き止まり、上位2本を残すと11本見て解に到達します。

Tree of Thoughtがどう効くのかを、探索木を作って走らせました。用意したのは深さ4の木で、1手目でいちばん有望に見える枝の先に解がないものです。

木の形と評価値はこちらで置いていますが、2つの手順は本当に実行して到達と展開数を数えています

javascript
// 1本道: 毎回いちばん有望な子だけを選んで降りる。戻らない
function greedy(node) {
  let expanded = 0, cur = node, path = [];
  while (cur.children.length) {
    expanded += cur.children.length;                       // 子を見た数を数える
    cur = cur.children.reduce((a, b) => (b.score > a.score ? b : a));
    path.push(cur.id);
  }
  return { reached: !!cur.goal, expanded, path };
}

// 枝を分ける: 各段で上位 k 本を残して降りる
function beam(node, k) { /* 各段で next を score 順に並べ、先頭 k 本だけ残す */ }
text
深さ4の探索木。1手目でいちばん有望に見える枝の先に解はない

手順        解に到達  見た枝の数  たどった経路
1本道で進む   しない              7本  A → A1 → A1a → A1a1
上位2本を残す  した              11本  B → B1 → B1a → B1a1
上位3本を残す  した              14本  B → B1 → B1a → B1a1

見た枝の数の比: 1.6倍(上位2本を残す場合)

1本道の手順はAへ進み、そのまま行き止まりに着きました。Aは1手目でいちばん有望に見える枝です。

見かけに引きずられる

この木では、解はBの先にあります。ところがBは1手目の評価でAより低く、1本道の手順はBを見た時点で捨てています

しかも捨てたあと戻りません。ですから行き止まりに着いても、そこで終わります。

残せば選び直せる

上位2本を残す手順では、1手目でAとBの両方を保持します。2手目でBの先が高く評価されたため、そちらが残って解に届きました

代償は見る枝の数です。7本から11本に増えています。1.6倍という比は、この木が小さいためで、木が広いほど差は開きます。

本数を増やしても同じ

3本に増やした場合も、到達する経路は2本のときと同じでした。増えたのは見る枝の数だけで14本です。

1本道は最初の見かけで決まる。残せば選び直せるが枝は増える。

単位: 本1本道で進む(到達せず)7本上位2本を残す(到達)11本上位3本を残す(到達)14本深さ4の探索木での展開数。3本に増やしても到達する経路は2本のときと同じだった。
図1 ── 手順ごとの、見た枝の数と到達
出典Anthropic Engineering「How we built our multi-agent research system」2026-08-17 確認
You can’t hardcode a fixed path for exploring complex topics, as the process is inherently dynamic and path-dependent.
原文Anthropic Engineering「How we built our multi-agent research system」 この内容の有効期限2027-02-17

Tree of Thoughtとはどういう進め方なのか

考えを1本に絞らず、複数の候補を枝として残しながら進めます。途中で評価して、見込みの薄い枝を落とします。

Tree of Thoughtは、次の一手の候補を複数出し、それぞれを枝として残しながら進める方法です。日本語では思考の木とも呼ばれます。

1段の中身

1段でやることは3つです。候補を出す、それぞれを評価する、上位だけ残す。残した枝それぞれについて、また同じことを繰り返します

評価の基準はこちらで用意します。ここが作れないと、どの枝を残すか決められません。

道筋が結果を左右する

この考え方が要る理由は、探索の性質にあります。Anthropicは調査の仕事について、複雑な題材を探るのに決まった道筋を固定して書き込むことはできず、その過程は本質的に動的で、どの道を通ったかに左右されると述べています。

同じ文書では、モデルが多くの手にわたって自律的に動き、途中で得た結果をもとにどの方向を追うかを決める必要があるとも書かれています。途中で選び直すことが前提になっている、という整理です。

似た進め方との違い

1本の筋道を書かせるだけの方法はChain of Thoughtの記事で、同じ問いを複数回解かせて多数決を取る方法は自己整合性の記事で扱っています。Tree of Thoughtは、途中で分岐して選び直せる点が両者と違います。

余談 評価の基準がいちばん難しい

組んでみて分かったのは、探索の骨組みより、枝を評価する基準を作るほうが難しいことでした。基準が当てにならなければ、残す枝も当てにならず、1本道と変わりません。前の節の木でも、1手目の評価がAを最上位にしたことが行き止まりの原因でした。

出典Anthropic Engineering「How we built our multi-agent research system」2026-08-17 確認
The model must operate autonomously for many turns, making decisions about which directions to pursue based on intermediate findings.
原文Anthropic Engineering「How we built our multi-agent research system」 この内容の有効期限2027-02-17

探索の枝は何本残せばよいのか

2本から始めます。増やしても到達が変わらないことがあり、そのときは見る枝が増えるだけです。

Tree of Thoughtで残す本数は、増やせば良くなるとは限りません。前の節では2本と3本で到達が同じでした。

そもそも使うべきか

  1. 途中で選び直したい仕事。調べた結果で次の方向が変わる
  2. 候補を評価する基準が作れる仕事。良し悪しを数値にできる
  3. 手順が決まっている仕事。探索する必要がない
  4. 評価の基準が作れない仕事。残す枝を選べない

3番目と4番目には向きません。特に4番目では、枝を残しても選べないので1本道と変わりません。手順が読める仕事の組み方は決定的ワークフローの記事で扱っています。

調べものには合う

向いているのは、進みながら方向が変わる仕事です。Anthropicも調査について、調べ進めるなかで方向を変えたり、周辺のつながりを探ったりできる柔軟さが要ると述べています。

逆に、最初から答えへの道筋が見えている仕事に持ち込むと、探索の手間だけが乗ります。

本数と費用

残す本数は、そのまま見る枝の数に効きます。実測では2本で11本、3本で14本でした。1段あたりの候補が多い木では、この伸び方がさらに急になります

ですから2本から始めて、到達しない場合にだけ増やすのが実際的です。増やす前に、評価の基準を見直すほうが効くこともあります。

評価の基準が当てにならないと、枝を残しても選べない。

途中で方向が変わる仕事かいいえ手順を決めて進めるはい候補を評価する基準を作れるかいいえ先に基準を作るはい枝を2本残して探索する実測では2本で解に到達し、3本に増やしても到達は変わらず展開数だけ増えた。
図2 ── 枝分かれさせるかどうかの判断
見た候補の数を記録する探索は費用が読みにくい構成です。木の形によって展開数が変わるためです。1回あたり何本見たかを記録し、上限も置いてください。費用の抑え方はエージェントの費用管理の記事で扱っています。
出典Anthropic Engineering「How we built our multi-agent research system」2026-08-17 確認
Research demands the flexibility to pivot or explore tangential connections as the investigation unfolds.
原文Anthropic Engineering「How we built our multi-agent research system」 この内容の有効期限2027-02-17

よくある質問

枝を残せば必ず解に届きますか
届きません。残した枝の中に解への道が含まれていなければ、本数を増やしても同じです。この記事の実測でも、2本で届いたのは解の手前が上位に入っていたからです。
何本残すのが適切ですか
問題によります。増やすほど見る枝が増え、そのぶん費用と時間が伸びます。実測では2本と3本で到達に差がありませんでした。
Chain of Thoughtとは何が違いますか
Chain of Thoughtは1本の筋道を書かせるだけで、枝分かれしません。Tree of Thoughtは複数の候補を残し、後から選び直せる形にします。
実装は複雑になりますか
なります。候補を保持し、各段で評価して絞る処理が要ります。手順が読める仕事なら、そもそも探索する必要がありません。

まとめ

  • Tree of Thoughtは候補を残しながら探す進め方
  • 1本道は7本見て行き止まりだった
  • 上位2本を残すと11本見て解に到達した
  • 本数を増やしても見る枝が増えるだけの場合がある

今日から始められること

  1. AIに任せている判断のうち、途中で選び直したい場面を書き出す
  2. その場面で、候補を評価する基準が作れるか確かめる
  3. 作れるなら候補を2本残す形から試す
  4. 見た候補の数を記録し、増やす価値があるかを判断する

実務で組んだTree of Thoughtのワークフローには、値段が付きます

同じ課題を持つ会社にとって、動いている設定は「作る時間」を買えるということです。ServiceDockは自作のワークフローやテンプレートを出品できるマーケットプレイスです。手数料や出品の流れは出品者向けページにまとまっています。

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