エージェント基盤・プロトコル

Agents SDKとは|肩代わりされるのは10項目中7つ、残る3つは自分にしか書けない

Agents SDKは何をしてくれるのかSDKを使っても自分で書くことは何かどう選べばいいのか

エージェントを作るためのSDKが各社から出ています。どれを選ぶべきか迷うところですが、その前にSDKが何を肩代わりしてくれるのかを把握しておく必要があります。

今回は数えました。エージェントを動かすのに必要な処理を列挙して、SDKが持つものと自分で書くものに分けています。結果を先に言うと、10項目中7つは肩代わりされ、3つは残りました

この記事の要点

  • SDKが肩代わりするのはループの配管部分。10項目中7つ
  • 残る3つは業務ルール・ツールの中身・権限設計。自分にしか書けない
  • つまりSDKの選定で減るのは配管だけで、業務の部分は減らない
  • 選ぶ基準は機能の多さではなく抜けられるか

Agents SDKは何をしてくれるのか

エージェントを動かすための繰り返し処理を肩代わりします。ツールを呼んで結果を戻し、終わりを判定する部分です。

Agents SDKが担うのは、エージェントを動かす繰り返しの処理です。この部分はどの実装でもほぼ同じ形になるため、共通化する価値があります。

繰り返しの中身

エージェントの動作は、単純な繰り返しでできています。AIに聞く、ツールを呼べと言われたら呼ぶ、結果を戻してまた聞く、終わりと言われたら止める。この往復を管理するのがSDKの中心的な役割です。

そこに周辺の処理が付きます。応答が失敗したときの再試行、待ち時間の調整、逐次表示のための処理などです。

枠組みは軽い方がよい

Anthropicは、多くのチームを見た経験として、成功している実装は複雑な枠組みではなく、単純で組み合わせやすい形を使っていると述べています。

SDKの選定でも同じ観点が使えます。機能が多いことより、必要な部分だけ使えて、要らない部分を避けられるかが実務では効きます。

余談 SDKと枠組みは区別しておく

呼び出しを補助するだけの薄いSDKと、構成そのものを規定する厚い枠組みがあります。後者は書き方が固定される代わりに、そこから外れる要件が出たときに苦労します。どちらを採用しているかは意識しておく価値があると編集部は考えています。

出典Anthropic Engineering「Building effective agents」2026-08-17 確認
the most successful implementations use simple, composable patterns rather than complex frameworks
原文Anthropic Engineering「Building effective agents」 この内容の有効期限2027-02-17

肩代わりされるのは10項目中7つだった

エージェントに必要な処理を列挙して分類しました。配管は肩代わりされますが、業務にあたる3項目は残ります。

Agents SDKの効果を確かめるため、必要な処理を列挙して分類しました。SDKが持つものと、自分にしか書けないものに分けています。

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エージェントを動かすのに必要な処理の内訳

  SDKが持つ    会話履歴の保持       どのSDKも持つ
  SDKが持つ    ツール定義の受け渡し  形式が決まっている
  SDKが持つ    ツール呼び出しの検出  応答の解釈
  SDKが持つ    ツールの実行と結果返却 ループの中核
  SDKが持つ    停止条件の判定       無限ループを防ぐ
  SDKが持つ    再試行と待機         レート制限への対応
  SDKが持つ    ストリーミングの処理  逐次表示
  自分で書く   業務ルールの実装      自分にしか書けない
  自分で書く   ツールの中身         自分にしか書けない
  自分で書く   権限の設計           自分にしか書けない

SDKが肩代わりする範囲: 7 / 10 項目(70%)
自分で書く範囲       : 3 / 10 項目(30%)

分かれました。7項目と3項目です。肩代わりされる7項目には共通点があります。どれも業務の内容と関係がない処理だ、という点です。

残る3つが品質を決める

一方、残る3項目はどのSDKを選んでも書くことになります。業務ルール、ツールの中身、権限の設計。いずれも自分の業務を知らないと書けません

そして、エージェントの答えの質を決めるのはこの3つです。ツールの説明が曖昧なら選択を誤り、権限が広すぎれば事故が起きます。SDKを変えてもここは改善しません

自前で書く選択肢も残る

肩代わりされる7項目のうち、最初の5つはそれほど大きな実装ではありません。再試行とストリーミングを除けば、自前で書ける範囲です。

Anthropicの推奨も、可能な限り単純な解から始めることでした。SDKを入れる前に、必要な処理だけ書いてみるという順序も現実的です。

SDKで減るのは配管の7項目。品質を決める3項目は残る。

SDKを使う場合SDKが持つ7自分で書く310項目自前で書く場合1010項目−0%(0項目)全10項目の内訳。SDKを使っても3項目は残り、その3項目が答えの質を決める。
図1 ── エージェント開発で必要な処理の内訳
出典Anthropic Engineering「Building effective agents」2026-08-17 確認
we recommend finding the simplest solution possible, and only increasing complexity when needed
原文Anthropic Engineering「Building effective agents」 この内容の有効期限2027-02-17

Agents SDKはどう選べばいいのか

機能の多さではなく、後から抜けられるかで選びます。前の節で見たとおり、品質を決める部分はSDKの外にあるためです。

Agents SDKの選定では、比較表の機能欄を見比べたくなります。ただ前の節で見たとおり、品質を決める3項目はどのSDKを選んでも自分で書きます

確認する順番

  1. 使うモデルに対応しているか。ここで候補がかなり絞れる
  2. 開発言語に対応しているか。同上
  3. 抜けられるか。SDK固有の書き方への依存度を見る
  4. 記録の形式が標準に沿っているか。分析ツールへの載せ替えに効く

3番目が実務では重要です。エージェントの周辺は変化が速いので、1年後も同じSDKを使っているとは限りません。移りやすさを見ておくと、あとで助かります。

抜けられるかの見方

判断の目安は、業務ルールとツールの中身が、SDKと切り離して書けているかです。ここがSDK固有の書き方に埋め込まれていると、乗り換えのたびに書き直しになります。

逆に、ツールを普通の関数として書き、SDKからはそれを呼ぶだけの形にしておけば、SDKを差し替えても中身はそのまま使えます

対応で候補を絞り、依存度で選ぶ。機能の多さは判断材料にしない。

使うモデルと言語に対応しているかいいえ候補から外すはい業務ルールを外に出して書けるかいいえ乗り換えが難しくなるはい採用してよい。記録の形式も確認する機能の多さは判断材料に入れない。品質を決める部分はSDKの外にあるため。
図2 ── Agents SDKの選定手順

そもそも必要かを先に考える

手順が決まっている業務なら、エージェントの仕組み自体が不要な場合もあります。詳しくは決定的ワークフローの記事で扱っています。

Anthropicも、エージェント的なシステムは応答の速さと費用を性能と引き換えにしていると述べたうえで、その引き換えが見合う場面かを考えるよう促しています。SDKの選定は、その判断のあとに来ます。

SDKを入れても3項目は残る選定に時間をかけても、業務ルール・ツールの中身・権限設計は自分で書きます。しかも品質を決めるのはこの3つです。比較検討に時間を使うより、ツールの説明を丁寧に書く方が、結果に効く場合が多いと編集部は考えています。
出典Anthropic Engineering「Building effective agents」2026-08-17 確認
Agentic systems often trade latency and cost for better task performance, and you should consider when this tradeoff makes sense.
原文Anthropic Engineering「Building effective agents」 この内容の有効期限2027-02-17

よくある質問

SDKを使わず自前で書くのは無理がありますか?
無理ではありません。やり取りの往復とツール呼び出しの処理を書くだけなら、それほど大きくありません。ただし再試行やストリーミングまで含めると量が増えるため、そこを肩代わりしてもらう価値はあります。
どのSDKが一番よいですか?
扱うモデルと開発言語で選択肢が決まる部分が大きいので、一律の正解はありません。むしろ確認すべきは、後から抜けられるかどうかです。SDK固有の書き方に深く依存すると、乗り換えが難しくなります。
SDKを使えば品質が上がりますか?
上がりません。SDKが担うのは配管の部分で、答えの質を決めるのは指示とツールの設計です。この記事の分類でいえば、残る3項目が品質を決めます。
複数のSDKを併用できますか?
技術的には可能ですが、勧められません。同じ処理を2通りで書くことになり、記録の形式も揃わなくなります。使うなら1つに絞る方が管理しやすくなります。

まとめ

  • SDKが肩代わりするのは10項目中7つ。配管の部分
  • 残る3つは業務ルール・ツールの中身・権限設計
  • 品質を決めるのは残る3つ。SDKの選定では上がらない
  • 選定の基準は抜けられるかどうか

今日から始められること

  1. エージェントに必要な処理を書き出し、自分で書く部分を確認する
  2. 候補のSDKが、扱うモデルと開発言語に対応しているか確認する
  3. SDK固有の書き方をどこまで使うかを決める
  4. 記録の形式が標準に沿っているかを確認する

実務で組んだAgents SDKのワークフローには、値段が付きます

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