Notionの請求書は、これまでシンプルでした。使う人数×プランの月額。それだけです。ところが新機能「Custom Agents」には、まったく別の計り方が付いています。働かせた量に応じて課金される、クレジットという単位です。
人数で払う請求書と、量で払う請求書は、性質がまるで違います。人数は自分で決められますが、量は使ってみるまで読めません。この記事では公式ヘルプと独立メディアの取材を一次資料に、この新しいメーターの仕組みと、先に同じ変化を経験したMakeとの共通点を確かめます。
座席課金がなくなったわけではない。その外側に、使うほど増える新しい請求項目が追加された。
Notionの公式料金ページには、新機能Custom Agentsについてこう書かれています。“Free to try, then $10 per 1,000 monthly Notion credits.”。最初は無料で試せますが、その後は1,000クレジットあたり10ドルの従量課金に切り替わります。
| 課金項目 | 何で決まるか | 予測しやすさ |
|---|---|---|
| 座席料金(Plus/Business) | 利用人数 | 自分で決められる。予測しやすい |
| Custom Agentsのクレジット | エージェントが働いた量 | 使ってみるまで読めない |
同時期に追加された別機能「Workers」も、同じクレジット制に組み込まれる予定です。TechCrunchの取材記事はこう書いています。“The Workers will use the same credit system as Custom Agents, but Notion is making this free through August.”。無料期間は8月までで、公式ヘルプによれば10月15日からクレジット消費が始まります。
Free to try, then $10 per 1,000 monthly Notion credits.出典Notion 公式料金ページ 一次情報を確認2026-08-13 この内容の有効期限2027-02-13
軽いタスクなら1回あたり数十円。長い指示・多いツール呼び出しは桁が変わる。試してみるまで正確な額は誰にも分からない。
Notionのエージェントが消費するクレジット量は、公式ヘルプにこうあります。“Each custom agent run consumes credits based on task complexity.”。指示が長く、ツール呼び出しやデータベースの読み込みが多いほど消費が増えます。
公式の目安では、1,000クレジット(10ドル)で約30〜60回のエージェント実行ができるとされています。単純に割ると、1回あたり17〜33セント、円換算でおよそ25〜50円です。ただしこれは平均的な目安で、複雑なタスクや高性能モデルを選ぶ設定では、この数倍かかることもあります。
同じクレジットという単位を使いながら、もう1つの新機能「Workers」は桁違いに安く設計されています。公式ヘルプの記載を計算すると、Workersは1回あたり約0.0023ドル——1,000クレジットで約4,348回動く計算です。Custom Agentsの平均的な消費(1,000クレジットで約45回)と比べると、Workersの方が単価で約87倍安いことになります。
この差はAI推論の有無から来ています。Workersは「AI推論を必要としないタスク向け」と説明されています。データの同期や更新のような機械的な処理はほぼ定額に近い安さです。判断を伴うエージェントの仕事だけが高くつく——同じ「クレジット」という言葉の裏で、実質2段階の価格帯が存在しています。
| Custom Agents | Workers | |
|---|---|---|
| 用途 | AI推論を伴う判断タスク | 同期・更新などAI不要のタスク |
| 1,000クレジットあたりの実行回数 | 約30〜60回 | 約4,348回 |
| 1回あたりの目安単価 | 17〜33セント | 約0.23セント |
| 現在の扱い | 課金開始済み | 2026年10月15日まで無料 |
実際の消費は指示文の長さ・呼び出すツール数・選択モデルで大きく変わる。少数のタスクで実測してから本格導入するのが安全。
具体例で見ます。10人がBusinessプラン(年払い1人あたり月20ドル)を使うと、座席料金は年間2,400ドルです。ここに月200回のエージェント実行(1回20クレジット目安)を足すと、上の試算機の計算で月40ドル、年間480ドル。座席料金に対して2割前後の上乗せという規模感になります。軽い利用なら誤差の範囲ですが、エージェントを主力業務に組み込むチームでは、座席料金と同じかそれ以上に膨らむ可能性も否定できません。
Each custom agent run consumes credits based on task complexity.出典Notion 公式ヘルプ「Custom Agent pricing」 一次情報を確認2026-08-13 この内容の有効期限2027-02-13
Notionだけの変化ではない。自動化ツールがAI機能を持つほど、座席課金からクレジット従量課金へ寄っていく——同じ動きがMakeでも起きている。
Notionのエージェント機能は、静かに広がっています。TechCrunchの取材記事はこう報じました。“Notion customers have built over 1 million agents, the company says.”。まだ新しい機能ですが、利用はすでに実数として動いています。100万という数は、今後クレジット消費が積み上がる母数がすでに大きいことも意味しています。
この構造は、まったく新しいものではありません。Makeはかつて「Operations」という実行回数の単位で課金していましたが、AIモジュールの登場に合わせて「クレジット」という単位に切り替えました。通常の操作は据え置きのまま、AIが絡む部分だけ消費が変動する——今回のNotionと同じ形です。
| Make | Notion | |
|---|---|---|
| 変化前の単位 | Operations(実行回数) | 座席料金のみ |
| 変化後に追加された単位 | クレジット(AIはトークン連動) | クレジット(タスク複雑さ連動) |
| 変わらなかったもの | 非AI機能は据え置き | 既存の座席料金は据え置き |
理由は単純です。AIモデルの実行コストは、ベンダー側にとって人数では説明できない変動費だからです。座席課金は人数分の固定収入を保証しますが、AI処理のコストは使われた分だけ発生します。この2つを両立させる答えが、どのベンダーでも同じ——座席課金はそのまま残し、AI部分だけ従量課金を重ねる——という形に落ち着いているのだと編集部は見ています。
Notion customers have built over 1 million agents, the company says.出典TechCrunch「Notion just turned its workspace into a hub for AI agents」 一次情報を確認2026-08-13 この内容の有効期限2027-02-13
本格導入の前に、少数のタスクで実測する。これだけでクレジット消費の桁感がつかめる。
Notionのエージェント機能を検討しているなら、やることは多くありません。座席料金のような固定費と違い、クレジット消費は実際に使ってみないと正確な額が分からないため、慎重な見積もりの前に、小さな実測を挟む方が結局は早道です。
従量課金への移行は、Notion一社の判断というよりAI機能を持つツール全体の流れです。同じ変化は今後も他のツールで起きる可能性があります。導入前の実測という対策は、Notionに限らずどのAI機能にも共通して有効です。
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