AIに社内のデータを見せたいとき、つなぎ込みを書くことになります。使うAIが3種類、つなぎたい先が4種類なら、素朴に書けば12本のつなぎ込みが要ります。
共通の規格に寄せると7本で済みます。規模を広げると差はさらに開き、20種類と50種類の組み合わせで1000本と70本になりました。
AIから外部のデータや機能を呼ぶときの、やりとりの形を決めた取り決めです。中身ではなく接続の仕方を揃えています。
MCPは、AIと外部のシステムをつなぐときの取り決めです。公開されている規格で、特定の製品専用のものではありません。
揃えているのは接続の仕方です。どうやってツールの一覧を知り、どうやって呼び、どういう形で結果が返るか。ツールの中身には踏み込みません。
公式の説明でも、AIアプリケーションを外部のシステムにつなぐための、公開された規格と定義されています。データ源、ツール、決まった手順のいずれにも接続できます。
公式の説明では、AIアプリケーションにとってのUSB-C端子のようなものという例えが使われています。機器ごとに違う端子を用意しなくても済むようにする、あの発想です。
電源やデータの中身は端子が決めるものではありません。同じように、MCPも何を渡すかまでは決めていません。
同じ文書では、多くのクライアントとサーバーが対応している公開プロトコルだとされています。複数のAI製品と開発ツールが名前を挙げられています。
規格に沿って接続できることと、そのデータをAIに渡してよいことは別の話です。編集部では、つなぎ先ごとに渡してよい範囲を先に決めてから接続するようにしています。取り込んだ文書に指示文が混ざる問題はプロンプトインジェクションの記事で扱っています。
MCP (Model Context Protocol) is an open-source standard for connecting AI applications to external systems.原文Model Context Protocol Docs「What is the Model Context Protocol (MCP)?」 この内容の有効期限2027-02-17
組み合わせ数を数えました。小規模では12本と7本の差ですが、20種類と50種類まで広げると1000本と70本まで開きます。
MCPに寄せると何がどれだけ減るのかを、つなぎ込みの本数で数えました。題材はAIを使う側が3種類、つなぎたい先が4種類ある状況です。
断っておくと、これは実装工数を計測したものではありません。必要になるつなぎ込みの本数を数え上げた計算です。1本あたりの手間は等しいと置いています。
const CLIENTS = ['社内チャット', 'コードエディタ', '問い合わせ窓口']; const SOURCES = ['社内Wiki', '案件DB', 'ファイル置き場', 'カレンダー']; // 個別に書く: クライアント×データ源の数だけ実装が要る const perPair = CLIENTS.length * SOURCES.length; // 規格に寄せる: クライアント側の対応 + データ源側の実装 const perSide = CLIENTS.length + SOURCES.length;
使う側 3種類、つなぎたい先 4種類のとき 個別に書く: 12本 規格に寄せる: 7本 片方を1つ増やしたときに、追加で書く本数 増やすもの 個別に書く 規格に寄せる データ源を1つ追加 3本 1本 使う側を1つ追加 4本 1本 規模を広げたときの本数 使う側 つなぎ先 個別に書く 規格に寄せる 3 4 12本 7本 5 10 50本 15本 10 30 300本 40本 20 50 1000本 70本
増え方が違います。個別に書く方式は掛け算で増えるのに対し、規格に寄せると足し算で済みます。
運用で効いてくるのはこちらです。つなぎ先を1つ追加すると、個別方式では使う側の数だけ実装が要ります。3種類使っているなら3本です。
規格に寄せていれば1本で済みます。書いた1本が、対応しているすべての使う側から見えるためです。
ただし出発点では逆転しません。使う側1つ、つなぎ先1つなら、個別方式が1本で規格方式は2本です。規格に沿って書く手間は、最初の1本では回収できません。
掛け算で増えるか、足し算で済むか。分かれ目はそこだけ。
Think of MCP like a USB-C port for AI applications.原文Model Context Protocol Docs「What is the Model Context Protocol (MCP)?」 この内容の有効期限2027-02-17
つなぎ先が今後増えるかどうかで決まります。増えないなら、個別に書くほうが速く終わります。
MCPを採用するかどうかは、組み合わせが増える見込みがあるかで決まります。前の節の数字が示しているのは、そこだけです。
3番目と4番目に当てはまるなら、無理に寄せる必要はありません。規格に沿わせる手間が回収できないまま終わります。
規格に寄せると、やりとりの形はその規格に従うことになります。独自の都合に合わせた最適化はしにくくなります。
とはいえ公開された規格なので、特定の製品に縛られるわけではありません。多くのクライアントとサーバーが対応していると説明されているとおりです。
接続できるようになると、次は何を渡すかを決めることになります。ここは規格が決めてくれない部分です。
つなぎ先ごとに、読み取ってよい範囲と書き込んでよい範囲を分けてください。渡す機能の絞り方はツール利用の記事で、実行できる操作を環境側で制限する方法はサンドボックス実行の記事で扱っています。
増える見込みがないなら、寄せる手間は回収できない。
MCP is an open protocol supported across a wide range of clients and servers.原文Model Context Protocol Docs「What is the Model Context Protocol (MCP)?」 この内容の有効期限2027-02-17
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