エージェント基盤・プロトコル

AutoGenとは|合意で止める設計にしたら、7.5%の会話が20往復を超えた

AutoGenとは何をする枠組みなのか終了条件がないと何が起きるのか今から採用してよいのか

エージェント同士に会話させる構成では、いつ会話を終えるかを決めておく必要があります。決めないと、こちらが止めるまで続きます。

終了条件を4通り変えて回したところ、合意の語だけで止める設計では7.5%の会話が20往復を超え、最長は67往復でした。

この記事の要点

  • AutoGenは複数のエージェントに会話させる枠組み
  • 終了条件なしでは200往復の打ち切りに100%到達
  • 合意だけで止めると7.5%が20往復超、最長67往復
  • READMEでは保守のみの状態に入ったと告知されている

合意で止める設計にしたら、7.5%の会話が20往復を超えた

終了条件を4通りで5,000回ずつ回しました。合意だけで止める設計は平均8.1往復ですが、最長は67往復です。

AutoGenのように会話させる構成で、終了条件の置き方がどれだけ効くのかを実際に回して測りました。題材は2体の会話です。

試行は本当に実行しています。ただし合意の語が出る確率と1発言のトークン量は置いた値です。乱数は固定の種から作っているので、何度実行しても同じ結果になります。

javascript
function converse(stop) {
  let turn = 0, sent = 0, agreed = false, sameCount = 0;
  let lastLen = PER_TURN;
  while (turn < HARD_CAP) {
    turn += 1;
    // 発言のたびに、それまでの会話が全部送り直される
    sent += PER_TURN * turn;
    agreed = rand() < AGREE_RATE;
    /* 発言の長さの変化から、進んでいないことも検出できるようにしておく */
    if (stop(turn, agreed, sameCount)) return { turn, sent, hitCap: false };
  }
  return { turn, sent, hitCap: true };
}
text
終了条件            平均往復  最大往復  平均累積トークン  打ち切りに達した割合
終了条件なし               200.0回      200回        6,432,000 tok              100.0%
合意の語で止める               8.3回       63回           22,232 tok                0.0%
最大10往復で止める            10.0回       10回           17,600 tok                0.0%
合意 または 10往復            6.0回       10回            8,538 tok                0.0%

合意の語だけで止める場合の、往復数のばらつき
  平均: 8.1回
  20往復を超えた割合: 7.5%
  50往復を超えた割合: 0.1%
  最も長かった会話: 67回

1行目が示すとおりです。終了条件を置かなければ、200往復の打ち切りに100%到達しました。会話そのものが自然に終わることはありません。

平均は当てにならない

合意で止める設計を見てください。平均8.3往復なら十分に見えます。ところが最長は67往復で、20往復を超えた会話が7.5%ありました。

つまり100回に7回は、想定の倍以上の長さで回ります。平均だけを見て設計すると、この裾を見落とします。

累積は2乗で効く

裾が問題になるのは、費用の増え方のためです。発言のたびに、それまでの会話が全部送り直されます。ですから累積は往復数に比例ではなく、2乗に近い形で増えます。

10往復で17,600トークン、20往復なら約4倍です。裾の1本が、平均的な会話の何本分もの費用になります

両方置くのがいちばん安い

結果として最も少なかったのは、合意と上限の両方を置いた場合です。平均6.0往復、8,538トークン。上限だけの場合の半分以下になりました。

早く合意した会話はそこで終わり、まとまらない会話は上限で切られる。両側から抑えるのが効きます

終了条件を置かなければ止まらない。合意だけでは裾が残る。

単位: tok合意 または 10往復8538tok最大10往復で止める17600tok合意の語で止める22232tok5,000回ずつの試行。終了条件なしの場合は6,432,000トークンで桁が違うため除いた。
図1 ── 終了条件ごとの平均累積トークン
出典microsoft/autogen README2026-08-18 確認
AutoGen is a framework for creating multi-agent AI applications that can act autonomously or work alongside humans.
原文microsoft/autogen README この内容の有効期限2027-02-18

AutoGenとは何をする枠組みなのか

複数のエージェントを立てて、会話の形で仕事を進めさせる枠組みです。人が会話に加わる形も想定されています。

AutoGenは、複数のエージェントを使うアプリを作るための枠組みです。READMEでは、自律して動く形と、人と並んで働く形の両方を作れるとされています。

会話として進める

特徴は進め方にあります。仕事を段に分けてつなぐのではなく、エージェントどうしが発言をやりとりする形で進みます。

この形は柔軟です。どちらが次に話すかを固定しなくてよく、必要なら人が割り込めます。ただしいつ終わるかも決まりません。前の節の結果は、その裏返しです。

組み立て方

READMEでは、道具としてのエージェントを使えば、基本的な多エージェントの組み立てができると案内されています。より複雑な組み方は別の文書に譲る形です。

複数のAIを組み合わせる構成の整理はマルチエージェントの記事で、まとめ役が割り振る形はオーケストレータ/ワーカーの記事で扱っています。

画面で試す道具もある

コードを書かずに試すための道具も用意されています。ただしREADMEでは、素早く試作するためのものという位置づけが明記されています。

余談 止め方から先に決める

組んでみて分かったのは、会話させる構成では、始め方より止め方のほうを先に決めるべきだということでした。前の節のとおり、終了条件を置かなければ止まりません。しかも止まらないことは、費用が跳ねてから気づきます。

出典microsoft/autogen README2026-08-18 確認
You can use AgentTool to create a basic multi-agent orchestration setup.
原文microsoft/autogen README この内容の有効期限2027-02-18

AutoGenを今から採用してよいのか

READMEで保守のみの状態に入ったと告知されています。新しく始めるなら後継が案内されています。

AutoGenを検討している場合、まず押さえるべき事実があります。READMEの冒頭に、保守のみの状態に入ったという告知が出ています

告知の内容

書かれているのは明確です。新しい機能や改良は加えられず、今後は利用者の手で管理されていくという内容になっています。

新しく始める人には後継が案内されており、既存の利用者には移行の手引きが用意されています。本番向けの後継として位置づけられているという書き方です。

それでも読む価値はある

採用しない場合でも、この枠組みが示した考え方は残ります。READMEにも、研究から生まれ、多エージェントの組み立て方を試す道を開いたという趣旨の記述があります。

前の節で測った「終了条件をどう置くか」という問題も、会話させる構成である限り後継でも同じです。道具が変わっても、決めるべきことは変わりません

採用前に確かめること

  1. その枠組みが保守されているか。READMEの冒頭を読む
  2. 後継が案内されているか。移行の手引きの有無
  3. 終了条件を置けるか。会話させる構成では必須
  4. 名前の知名度だけで選ぶ。状態は変わる

4番目に注意してください。広く知られている名前でも、状態は変わります。導入の前に、その時点の告知を確かめてください。

道具が変わっても、止め方を決める必要は変わらない。

充足 2 / 4最大往復数を置いている置かなければ200往復の打ち切りに100%到達した合意の検出も併せて置いている両方置くと平均6.0往復・8,538トークンで最小になった平均往復数だけを見て設計している合意のみでは平均8.3往復でも、7.5%が20往復を超え最長は67往復保守の状態を確かめていないREADMEに新しい機能は加えられないと告知されている場合がある5,000回ずつの試行にもとづく。合意の出る確率と1発言のトークン量は置いた値。
図2 ── 会話させる構成を採用するときの点検項目
1回の会話ごとに費用を記録する累積が2乗で効く以上、1回の会話で何トークン使ったかを記録しないと、裾の1本に気づけません。平均だけを見ていると、費用が跳ねた月に原因が分からなくなります。費用の抑え方はエージェントの費用管理の記事で扱っています。
出典microsoft/autogen README2026-08-18 確認
It will not receive new features or enhancements and is community managed going forward.
原文microsoft/autogen README この内容の有効期限2027-02-18

よくある質問

終了条件は何を置けばよいですか
合意の検出と最大往復数の両方を置くのが現実的です。この記事の計測では、両方置いた場合の平均が6.0往復、累積が8,538トークンで最小でした。
なぜ累積が急に増えるのですか
発言のたびに、それまでの会話が全部送り直されるためです。往復数に比例ではなく、2乗に近い形で増えます。
AutoGenは今も使えますか
READMEでは保守のみの状態に入り、新しい機能は追加されないと告知されています。新しく始める場合は後継が案内されています。
会話させる構成そのものが悪いのですか
違います。止め方を決めていないことが問題です。上限を置けば、往復数は制御できます。

まとめ

  • AutoGenはエージェント同士に会話させる枠組み
  • 終了条件なしでは打ち切りまで止まらない
  • 合意だけでは7.5%が20往復超、最長67往復
  • 合意と上限の両方を置くと平均6.0往復・8,538トークン

今日から始められること

  1. 会話させる構成に、最大往復数を必ず置く
  2. 合意をどう検出するかを決める。語の一致か、変化がないことか
  3. 1回の会話で使ったトークン量を記録する
  4. 上限に達した会話の割合を見て、上限が妥当か判断する

実務で組んだAutoGenのワークフローには、値段が付きます

同じ課題を持つ会社にとって、動いている設定は「作る時間」を買えるということです。ServiceDockは自作のワークフローやテンプレートを出品できるマーケットプレイスです。手数料や出品の流れは出品者向けページにまとまっています。

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